前回、光の向きには名前があるということをご紹介しました。
ここでは、「順光」と「サイド光」のとき、写真に何が起こるかを簡単に書きます。
順光
順光とは、カメラから見て被写体の手前から光が当たる状況のことです。カメラマンが光を背負っている方向、とも言えます。
順光の時には何が起こるでしょうか。
すべてがはっきり写る
順光は、カメラから見える場所を強く均一に照らします。影が少なく、かといって光りすぎる部分もない写真ができ、色も正しく再現されます。
ひとことで言えば、全部ちゃんと写ります。
逆光は光を目立たせますが、順光写真は人に光を意識させません。かわりに、被写体の姿に集中させてくれます。
大きな建物や自然のパノラマを、細部までしっかり写したい。そういう時によく使われるようです。
ちょっと話はそれますが、究極の順光写真といえば、たぶんこれです!
ドーン。
これは1972年、世界で初めて完全な順光で撮られた地球の写真です。通称「ザ・ブルー・マーブル」。どこにも影はなく、細部までしっかりと写っています。だからこそ世界中に流布し、超有名な1枚になりました。
こうなっていたでしょう。
しっかり写っていればそれだけで感動できる。そういうものを見つけたら、順光がおすすめです。
奥行きがなくなる
現実世界には奥行きがあり、両目の視野の微妙な差によって立体的に見えています。一方、写真は平面なのでそれがありません。
そのため、実は僕たちは影の形をヒントの1つにして奥行きを想像しています。
順光写真には影が少ないので、実際に見た景色よりも平面的に、のっぺりと感じられます。逆にサイド光では立体感が強調されます。
人がしかめっ面になる
強い順光では、カメラ目線のポートレート(人物写真)が撮れません。まぶしくてカメラを見れないからです。「笑って!!」と叫ばないでください。無理です。
サイド光
サイド光とは、カメラから見て被写体の横から光が当たる状況のことです。これに関して僕が言えるのは1つだけです。
立体感が出る
サイド光では、被写体の光の当たっている側は明るく、逆側は暗くなります。上で書いた通り、この対比が被写体に立体感を出します。
ポートレートでは、彫りが深く見え、ある種のワイルドさが出ることがあります。
デメリットは、強い影が出てしまい、全体が綺麗に写るというわけにはいかないことです。
次回
以下のサイトに、同じ人形を「順光」「サイド光」「逆光」で撮った写真があります。参考にご覧ください。
SONY デジタル一眼レフカメラα サポートページ http://www.sony.jp/support/ichigan/enjoy/photo/word2.html次回は、光が複数の方向から来るときのことを書きます。